多分、描いてるもの。2


たしか、そう、たしか。

中学生の頃、
授業だったか遊びだったかで、
絵を描いた記憶がある。




そのときに描いた絵は
水彩画で、

空の真ん中に、
窓か扉のようなものがあり、
それは、観音開きで開いていて、
こちらと向こうを繋ぐように
線路が敷かれてあった。

あれは何だったんだろう?と、
考えていたのだが、
思い当たるものがあった。




あれは、

『 火葬場 』

だったのではないか、と。




わたしは、
3歳のときに、
父を亡くしている。

父の入れられた棺が、
線路の上に乗せられて
火葬場の奥へと入っていき、
扉が閉まった、という記憶がある。
その一連の出来事を、
どのような情況で見ていたかまでは、
覚えていない。

でも、これは、
覚えていても無駄だから
忘れようと思って、
子供の頃に捨てた記憶だった。

しかし、わたしは無意識に、
それを描いていた、ということだ。




今、わたしが描いている絵が、
それを意味するかどうかはわからない。
けれど、その記憶は、
たしかにわたしの中にある。




軍司倫岬

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